
毎日の食事で「ビタミンK」が十分に摂れているか、意識したことはあるでしょうか。ビタミンの名称は発見された順にアルファベット順で決まりますので、ビタミンKは新しいビタミンです。脂溶性ビタミンの一種であり、実は1930年頃に血液凝固に関与する栄養素として発見されたのですが、研究が進み、その重要な働きが詳しく解明されてきたのは1970年代以降です。
ビタミンKには1〜5まであり、中でも重要なものは、K1とK2です。ビタミンK1は緑黄色野菜に多く含まれます。K2は発酵食品や動物性食品に含まれ、納豆菌をはじめとする発酵微生物の働きでK1から作られます。ビタミンK2には動脈壁からカルシウムを抜き取り、骨へ移動させるという重要な働きがあります。そのため、動脈硬化を防ぎ、骨を丈夫にする効果が期待できます。骨粗鬆症予防のためにも、カルシウム、ビタミンDと並んで積極的に摂取したい栄養素です。
近年の研究で、血液の凝固や骨粗鬆症予防、動脈硬化予防以外に、ビタミンKが糖尿病の予防、呼吸器疾患の予防に役立つ可能性も示唆されています。また、ビタミンKが低下するとCOVID-19が重症化しやすいことも報告されており、免疫の機能を維持、増強するためにも重要な栄養素と言えます。
さらに、閉経前後の女性を対象としたオランダの研究では、ビタミンK2の一種であるメナキノン-7(MK-7)を摂取した人のグループで血管の硬さが改善されていたという結果が報告されました(※)。1年間の臨床試験に基づく結果であり、今後さらなる研究が待たれますが、閉経後に血管のしなやかさが失われ健康リスクが高まる女性の問題に対して、ビタミンKが恩恵となるかもしれません。
* Nutrients 2025 , 17 (5), 815;
以前、ビタミンKは腸内細菌によって産生されているので食品として摂取する必要はないという考え方がありましたが、腸内細菌によって作られるビタミンKは吸収されにくいことから、現在ではこの考え方は否定されています。
ビタミンKを含む食品(納豆などの発酵食品、緑の濃い野菜など)を意識して積極的に食べましょう。外食中心の食生活では、緑黄色野菜類の摂取が少なくなり、結果としてビタミンK不足が起きている可能性もあります。脂溶性ビタミンのビタミンKは、油と一緒に摂取することで吸収率が向上します。バターやオリーブオイルを使った野菜料理などがおすすめです。
ビタミンKを生み出してくれる腸内環境を良好に保つことも大切です。発酵食品を含め、日々の食生活でさまざまな食品をバランスよく摂ることを心がけ、ビタミンKを含むさまざまな栄養素を適切に摂取しましょう。なお、血栓予防の目的で抗凝固薬を服用している場合は、ビタミンKの働きが阻害されてしまうことがあるため、ワルファリンなどの抗凝固薬を服用中の方は、ビタミンKの摂取について主治医にご相談ください。
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