
みなさんは「植物性食品」と「動物性食品」の違いを意識して食事をしていますか。野菜、果物、豆類、穀類、ナッツなどの植物性食品を中心に食べ、動物性食品は控えめにする食事スタイルを「PBD(Plant-Based Diet)」といい、この影響について、医学の研究報告も増えています。動物性食品を全く摂らないベジタリアン(菜食主義)とは少し違います。
PBDは、日本人に増えている慢性腎臓病(CKD)を予防する方法としても注目されています。CKDは日本人の8人に1人が抱えると言われる身近な病気です。高血圧、糖尿病、加齢などが原因となり、知らないうちに進行してしまうことが特徴です。
2023年に発表された大規模な統計解析では、12万人以上を平均11年間追跡した結果、PBDを採用した人はCKD発症リスクが26%低かったことが報告されました(*1)。この研究では、植物性食品の摂取量に応じてリスクが下がることも確認されており、「少し多めに植物性食品を選ぶ」だけでも腎臓に良い影響があることが示されました。
ただし、植物性食品といっても加工食品中心では腎臓を守る効果は得られません。「野菜・果物・豆・全粒穀物の素材を中心にした健康的なPBD」であることが重要です。
別の研究では、植物に含まれる「フィトステロール(植物ステロール)」という成分が、心臓病や2型糖尿病の予防に役立つ可能性も示唆されています(*2)。
フィトステロールとは、植物に由来するステロール類で、動物性のコレステロールに類似した構造を持つ化合物です。私たちが日常的に食べている野菜、果物、ナッツ、全粒穀物などに多く含まれています。特にアーモンド、くるみ、ピスタチオ、亜麻仁、玄米、オリーブオイルなどが豊富な供給源です。
この研究は観察研究であるため、「フィトステロールを摂ると確実に病気が予防できる」と言えるわけではありません。それでも、健康的な食生活の一部として、フィトステロールに注目する意味はあるでしょう。そして、「植物性食品をバランスよく食べること」で自然とフィトステロールを摂取することができるのです。
CKDは一度進むと元に戻りにくい病気ですが、日常の食習慣でリスクを下げることは可能です。完全な菜食でなくても、「植物性食品の割合を増やす」だけで腎臓を守る効果が得られる可能性がありそうです。
また、腎臓を守る食生活は、血圧・血糖・体重管理にも役立ち、全身の老化予防にもつながります。薬に頼る前に、食事で病気を予防する習慣をつけたいものです。今日の食卓から、少しずつ植物性食品を増やしてみてはいかがでしょうか。
*1 J Ren Nutr. 2025 Jul;35(4):517-530.
*2 Current Developments in Nutrition 9 (2025) 106403
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