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タウリンの効用に注目

内臓脂肪はエネルギータンク

私たちが食事で摂ったエネルギーが消費されずに余ると、肝臓で「中性脂肪」が合成されます。この中性脂肪は血液中を流れて、脂肪細胞の中に蓄えられていきます。脂肪細胞は皮膚の下と内臓の周りに多く分布しており、内臓の周りの脂肪細胞に蓄えられたものを「内臓脂肪」、皮膚の下の脂肪細胞に蓄えられたものを「皮下脂肪」と呼びます。内臓脂肪は、胃や腸などの消化器のほとんどが収まっている腹腔(腹筋の内側にある空洞)の内部につきます。男性や閉経後の女性は増えやすい傾向があります。
内臓脂肪の役割は非常時エネルギータンクのようなものであり、蓄えられた脂肪は飢餓状態の時に必要な栄養源を供給するためにあります。しかし、飽食の現代人は飢餓状態になることはほとんどないため、内臓脂肪は溜まる一方になってしまいます。
内臓脂肪が増え過ぎると、糖尿病、動脈硬化、高血圧、心血管疾患、代謝性脂肪肝疾患など、全身状態にとってありがたくない様々な状態を作り出します。また、ある種のがんのリスクとも関連することがわかってきました。

脂肪細胞はなぜ増える?

これまで、脂肪が増えるのは脂肪細胞が肥大することが主な原因と考えられていました。ところが、最近のマウスを使った研究で、中年期には脂肪細胞そのものが新しく作られる現象が活発になることが判明しました。なぜ中年期になると太りやすく、メタボリックシンドロームから病気になりやすくなるのか、といった疑問に対して大きなヒントになりそうです。
今後のヒトでの研究結果を待たなければなりませんが、どうやら中年期は「脂肪細胞が再び増え始める時期」と言えそうです。健康を維持するためには、こうした体の変化を理解し、生活習慣を見直すことが大切です。

内臓脂肪を減らす栄養素は?

食事で意識できることの一つに、「抗酸化作用のある栄養素を摂る」ことが挙げられます。食事から摂取される抗酸化成分の総量と内臓脂肪の面積との関係について調べたアメリカの研究によると、抗酸化指数が上がるほど内臓脂肪面積が減少する傾向が確認されています。つまり、亜鉛、セレン、ビタミンCやAなど、抗酸化作用のある栄養素を多く摂取するほど、内臓脂肪の蓄積を防ぐ可能性が期待できるということです。

生活習慣を見直して
内臓脂肪を減らそう

生活習慣を見直して内臓脂肪を減らそう

糖質は控えめに、食物繊維(野菜・海藻・きのこ)を意識的に摂取しましょう。野菜には抗酸化作用が期待できるものが多くあります。加工食品・トランス脂肪酸(マーガリン、揚げ菓子)は極力避けることをおすすめします。

例えば「朝8時〜夜8時」の12時間以内に食事を終えるなど、夜遅い食事や間食を避けましょう。

ウォーキング・ジョギング・自転車などの有酸素運動を、週150分以上を目安に行いましょう。脂肪分解の促進、インスリン感受性の改善が期待できます。

筋肉は基礎代謝を高め、内臓脂肪の燃焼を助ける「脂肪の工場」です。特に中年以降は筋肉量が減りやすいため、週2〜3回の筋力トレーニングが勧められます。

睡眠不足は食欲ホルモン(グレリン)を増加させ、内臓脂肪がつきやすくなります。7時間以上の質のよい睡眠を意識して睡眠環境などの工夫を。

慢性的なストレスは副腎皮質ホルモン「コルチゾール」の分泌を促し、内臓脂肪を蓄積させます。深呼吸、瞑想、趣味の時間など、自分に合う方法で心の余白を意識的に作りましょう。

「気づかないうちに太っていた」という事態を防ぐため、週に1回は体重測定を。日本人の腹囲の基準値は男性85cm未満、女性90cm未満です。

まとめ

  • 内臓脂肪は、胃や腸など内臓の周りに
    蓄えられる
  • 内臓脂肪の役割は
    非常時エネルギータンクのようなもの
  • 内臓脂肪が増え過ぎると、
    糖尿病、
    動脈硬化、高血圧、心血管疾患など、
    病気につながりやすくなる
  • 中年期には脂肪細胞そのものが
    新しく作られる可能性が
  • 抗酸化作用のある栄養素を
    多く摂取しよう
  • 食事、運動、睡眠の見直しなどで
    内臓脂肪を減らそう