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糖尿病予防も?サツマイモの健康効果

血圧コントロールは
減塩とカリウム摂取の両面で

血圧コントロールは減塩とカリウム摂取の両面で

日本の高血圧人口は約4300万人と推定されており、国民の約3人に1人が高血圧です。そして高血圧は心臓病や脳卒中の大きなリスクとなります。この高血圧には塩分(ナトリウム)の過剰摂取が関係していることは、みなさんよくご存じでしょう。一方、カリウムの摂取不足もそれを後押しします。カリウムとナトリウムは同族の元素であり、体内では綱引きをするようにバランスをとりながら働いています。漢方では「カリウムは緩める働き、ナトリウムは固める働き」と表現することもあり、正反対の特徴を持つミネラルです。
医学研究においても、「尿中のナトリウム排泄量が多いと心臓血管疾患のリスクが高くなるのに対して、尿中カリウム排泄量が増えると心臓血管疾患のリスクが減少する」「カリウムを十分に摂取することで、ナトリウム摂取過剰による血圧上昇を抑え、血圧を適正に維持する」などの報告もあります。高血圧が気になる人は、減塩とカリウム摂取、両面での血圧コントロールを心がけることをおすすめします。

カリウムを含む代替塩の活用も

最近では、塩化ナトリウムをカットする代わりに塩化カリウムを含む「代替塩」も販売されています。
脳卒中の再発率が高い中国で、「代替塩」を使用するグループと従来の塩を使うグループを比較した大規模研究があります。その結果、代替塩を使用したグループでは再発率や死亡率が低下しただけでなく、安全性の面でも問題がなかったことが示されました。普段の塩を代替塩に置き換える方法は、健康を守るための安全で低コストな方法です。特に医療のアクセスが限られているような地域では、広く活用されるべきでしょう。今後、カリウムを含む代替塩が高血圧の予防や健康寿命の延伸に貢献する可能性がありそうです。

カリウムはストレスがかかると
失われやすい

カリウムはストレスがかかると失われやすい

カリウムは血圧コントロールの助けになるだけでなく、さまざまな細胞機能の調整に欠かせません。しかし、ストレスがかかると体内から失われやすい性質がありますので、忙しくストレスの多い現代人は意識して補給したいミネラルです。暑さ、寒さなどの環境要因もストレスとなり、汗をかけば水分と一緒にナトリウムもカリウムも失われます。医薬品による副作用などで失われることあります。カリウムが不足すると疲労感が強くなり、便秘や不整脈なども起こりやすくなってしまいます。

野菜、果物、海藻類などから
カリウムを補給しよう

野菜、果物、海藻類などからカリウムを補給しよう

医薬品やサプリメントにもカリウムを含むものがありますが、胃腸障害を起こしやすいため、まずは食品からの摂取を心がけましょう。野菜、果物、海藻類、大豆など植物性食品にカリウムを多く含むものがあります。代表的な食材としては、ケール、アボカド、納豆、バナナ、さつま芋などがあります。煮炊きするとカリウムは煮汁へ漏出してしまいますので、野菜ジュースやスープのように汁ごと食べられる料理がおすすめです。
ただし、腎臓の機能が低下しているとカリウム排泄がうまく行かないため、摂りすぎには注意が必要です。腎臓が気になる人は代替塩の使用も慎重に。ナトリウムとカリウムは多く摂ればよいのではなくバランスが大切です。ちょうどよいバランスを意識しながら、食生活を改善し、高血圧対策を行いましょう。

まとめ

  • 高血圧には塩分(ナトリウム)の
    過剰摂取だけでなく
    カリウムの摂取不足も関係
  • カリウムとナトリウムは体内で
    バランスをとりながら働く
  • 塩化カリウムを含む代替塩が
    高血圧の予防に役立つ可能性も
  • カリウムはストレスがかかると
    体内から失われやすいため
    意識して補給を
  • ケール、アボカド、納豆、バナナ、
    さつま芋など
    にカリウムが多く含まれる
  • 腎臓の機能が低下していると
    カリウム排泄がうまく行かないため、
    摂りすぎには注意