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「海藻」のメリット、デメリット

海藻はヨウ素の摂取源

海のミネラルを蓄えた海藻は、貴重な栄養素の宝庫です。特に特徴的なのは、ヨウ素(ヨード)が多く含まれることです。ヨウ素はうがい薬の成分としても知られるように、殺菌消毒作用があります。体内では免疫力をサポートしたり、甲状腺ホルモンの主な原料となるなど、健康維持に欠かせない栄養素です。
ヨウ素が欠乏すると、甲状腺機能が低下するだけでなく、新生児の発育不全などが起こりやすくなります。海藻を食べる機会の少ない海外の内陸国家では、ヨウ素不足による健康被害が深刻な問題になっていて、近年はヨウ素を添加した食塩などを利用することで対策しています。
一方、海産物を摂取する習慣がある日本人は、通常の食生活をしている限り、ヨウ素不足になることはまずありません。むしろ過剰摂取に気をつけるべきでしょう。特にヨウ素の含有量が多い昆布などを毎日大量に食べ続けると過剰になり、甲状腺に影響が出ることがわかっています。昆布水を毎日飲むような健康法も避ける方が賢明でしょう。

ビタミン、ミネラル、抗酸化成分も

ヨウ素以外にも、海藻からはマグネシウム、カルシウム、カリウム、亜鉛など、不足しがちなミネラルが摂れます。ビタミンDやビタミンB12、オメガ3脂肪酸も含まれています。
また、体のさびに対抗する抗酸化成分も期待できます。フロロタンニンと呼ばれる、海藻に特有のポリフェノールが含まれていて、抗酸化作用、抗アレルギー作用などがあることがわかっています。フコキサンチンと呼ばれるカロテノイドの一種にも、抗酸化作用があります。

フコイダンなど
水溶性食物繊維が豊富

フコイダンなど水溶性食物繊維が豊富

もう一つ、海藻に特筆すべきメリットは、水溶性食物繊維が豊富に含まれていることです。フコイダン、ポルフィランなど、海藻のネバネバした成分がこれにあたります。水溶性食物繊維は、腸内細菌の餌となって腸内環境を整えるほか、腸の中でゲル状になって排出されるので、便の水分量を高め、便通を良くする効果が期待できます。また、糖の消化吸収をゆっくりにして血糖値の急上昇を抑えたり、不要なコレステロールの吸収を抑えたりする作用も持ちます。

海藻は「ほどほどの量」を

栄養豊富な海藻は、健康上のメリットが多く、上手に食卓に取り入れたい食材であることは確かです。研究中ではありますが、欧米諸国と比較して日本人に新型コロナウイルス感染症による死亡者が少ない理由として、海藻を食べることだと考える研究者もいるほどです。
とはいえ、食べ過ぎればデメリットもありますので、たくさん摂れば摂るほど良いわけではありません。海藻は「ほどほどの量」を上手に取り入れましょう。

まとめ

  • 海藻には甲状腺ホルモンの材料となる
    ヨウ素(ヨード)が豊富
  • 日本人はヨウ素不足より
    過剰摂取に気をつけるべき
  • 海藻からはマグネシウム、亜鉛など
    不足しがちなミネラルが摂れる
  • フロロタンニン、フコキサンチンという
    抗酸化成分も摂れる
  • 海藻には
    水溶性食物繊維
    (フコイダン、ポルフィラン)が豊富