秋はサツマイモのおいしい季節です。ここ数年、サツマイモが人気で、鳴門金時、紅あずま、シルクスイートなど様々な品種が店頭に並び、サツマイモのスイーツの専門店なども登場しています。
「イモ」と名のつくものには、他にジャガイモ、里芋などがありますが、それぞれ植物学的には別品種であり、含まれる栄養成分にも違いがあります。
サツマイモには、ビタミンAの原料になるベータカロテンが多く含まれています。ベータカロテン(ビタミンA)は脂溶性ビタミンの代表ですが、強力な抗酸化作用を持つ成分でもあります。カロテンの血中濃度が高いほど、認知症になりにくい傾向があることを報告した研究もあります。
ちなみにカロテンという名前は「carrot(ニンジン)」に由来するように、そのオレンジ色が特徴です。脂肪組織が黄色に見えるのも、カロテンが貯蔵されているためです。
中がオレンジ色のサツマイモにはベータカロテンが多く含まれ、紫色のサツマイモにはアントシアニンが含まれています。これら植物由来の抗酸化作用を持つ有益な成分はファイトケミカルとも呼ばれます。
このほか、サツマイモにはビタミンB6、ビタミンC、食物繊維も豊富です。
甘くて糖度の高いサツマイモは、「太る」「糖尿病の原因になりそう」と避けている人もいるかもしれません。
サツマイモに関する28本の論文を集めて検証した最近の研究では、むしろ糖尿病予防効果がありそうだという可能性が指摘されています。抗糖尿病作用に働く有効成分としては、フェノール類、フラバノール、アントシアニジンなどのポリフェノール類ではないかと考えられています。
サツマイモには栄養成分が豊富ですし、食物繊維、ポリフェノール類などの作用を総合的に考えると、腸内細菌叢のバランスを保つ、免疫機能の維持・増強、認知機能のサポート、視力のサポートなど、さまざまな効能が期待できそうです。
もちろん、サツマイモの糖分以外に砂糖や脂肪などを加えたスイーツを食べすぎれば、太ったり、糖尿病につながったりするリスクもありますが、食生活のバランスを保ったうえで、適量を食べるのは健康増進に役立つでしょう。
ちなみに、サツマイモに多く含まれるベータカロテンは脂溶性ですから、油と一緒に摂ることで吸収率が高まります。さまざまな料理で、サツマイモの旬のおいしさを楽しみましょう。
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