「糖化」とは、糖質とたんぱく質が結合する現象のことです。「酸化」(体のサビ)と「糖化」は、老化を進める〝両横綱〟とも言えます。
本来、たんぱく質は立体的な三次元構造をしており、さまざまに動くことができるのですが、糖質と結びつくとくっつきあって自由に動けなくなり、大切なはたらきが妨げられてしまいます。このように糖質とたんぱく質が結びついた変性部位では、AGEs(Advanced Glycation End Products =終末糖化産物)と呼ばれる物質がたくさん産出されます。
糖とたんぱく質は自然に化合物を作る傾向がありますが、熱と乾燥という条件が加わるとAGEsを作る速度はさらに早まります。こうしたことから、糖化は「体が焦げること」とも表現されます。
AGEsの厄介なところは、これを分解したり排泄したりすることが十分にできないため、体内に蓄積されてしまう傾向があることです。私たちの体内でも糖化現象は日々起こっており、糖質を過剰に摂りすぎると、余った糖質とたんぱく質が結びついて、糖化がどんどん進みます。また、AGEsを多く含む食品を食べることでも蓄積します。食品中のAGEsは、約7%程度が人体に吸収されると考えられています。
体内に蓄積したAGEsは、細胞にはたらきかけて炎症を引き起こし、細胞の機能低下を招きます。エネルギー代謝が悪くなれば太りやすくなりますし、皮膚のコラーゲンというたんぱく質が糖化すれば肌の弾力がなくなってくすんでくるなど、体のいたるところで老化が進みます。血管では糖化に酸化が加わると動脈硬化が発生しやすくなり、心臓血管疾患やがんなど、さまざまな病気につながることもわかってきました。
私たちの体を構成する主要な成分はたんぱく質です。細胞も、酵素や脳の伝達物質もそうです。その大事な成分が糖質と結びつくことで変化してしまうと、本来のはたらきが十分に得られないことが問題です。生きている以上、糖化は避けられない現象ですが、過剰な糖化が起こりにくい環境を作っていくことはできます。できるだけ体内のAGEsを増やさないために、以下のポイントを意識しましょう。
血糖値の急上昇・急降下は糖化を進めます。一気に大量に食べないようにして1回の食事は最低でも20分程度、時間をかけるようにしましょう。お菓子や精製された穀類など糖質の多い食品を摂り過ぎないことも大切です。
「糖質+たんぱく質+熱・乾燥」がキーワードです。茶色く焦げたような食品はAGEsが多く含まれていますので、食べ過ぎに注意しましょう。清涼飲料水に含まれる異性化糖も、AGEsを急速に増やすことが知られています。また、加熱調理温度が高いとAGEsは増加しますので、「焼く・揚げる」よりも「煮る・蒸す」といった調理法を選びましょう。
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