人の腸内には、1000種類、100兆個以上の腸内細菌が存在しており、大きく「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類に分けられます。これらの腸内細菌の分布バランスが免疫にも影響を与え、肥満や糖尿病、アレルギーなどの病気だけでなく、思考や心の状態などメンタルヘルスも左右される可能性があることがわかってきました。
この腸内細菌叢のバランスを整えるには、善玉菌を含むプロバイオティクスと呼ばれる食品を摂ることと、善玉菌を繁殖させる環境を作ることです。食物繊維は善玉菌のエサとなり、便通をスムーズにして腸内の有害物質の排泄を促し、腸内環境を整えるのに役立ちます。食物繊維が腸内環境を整えることで、さまざまなビタミンが作り出されることもわかっています。食物繊維は、いわば「食べる整腸剤」のようなものなのです。
食物繊維の1日あたりの摂取目標量は成人男性20g以上、成人女性18g以上とされています。ところが、現状では1日平均5〜7gの食物繊維が不足しています(厚労省「平成30年度国民健康・栄養調査」)。これは平均なので個人差もあります。自分が食物繊維を十分に摂取できているかどうかを知るには、毎日の便通の状態を目安にしてみましょう。
理想的な便通は「1日1回規則的に便通がある」「黄褐色でバナナのような硬さと形」です。色が黒褐色に近づく、軟らかすぎたり硬すぎたりする、といった場合は食物繊維不足のサインです。また、においが強くなったら悪玉菌が増加している可能性が高いので、食生活を見直してみましょう。以下に、習慣化するための食生活の工夫をいくつかご紹介しますので、ぜひ実践してみてください。
平均不足量の5〜7gを1日の中で補うためには、1食あたり+2gをめざしましょう。調理いらずで簡単に食物繊維がとれる食品を多用するのもよいアイデアです。
食物繊維はきのこ、海藻、野菜、豆に豊富に含まれています。これらの食材を常備しましょう。野菜の中では根菜や葉物野菜に多く含まれますが、根菜は糖質が多いので取りすぎないように、葉物野菜からの摂取がおすすめです。豆は缶詰やドライパックを使うと手軽です。中でも日本人に馴染み深い大豆は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維が一緒に摂れます。
白米と野菜・きのこを合わせて炊く、味噌汁やサラダに豆や海藻をプラスするなど、いつもの食事に食物繊維が豊富な食材をプラスすることを心がけましょう。ビタミンやミネラルの摂取にもつながります。
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