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プロテインの摂り過ぎは要注意!たんぱく質を考える

健康維持のために選びたい
オメガ3脂肪酸

健康維持のために選びたいオメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸とは、油脂(脂肪酸)の中でも健康維持のために選びたい油脂の筆頭に挙げられるものです。血液をサラサラにして血栓の形成を防ぐ働きが知られていますが、他にも慢性炎症を抑える働き、脳神経の機能を維持する働きなど様々な働きがあります。EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)と呼ばれる青魚の脂がその代表です。
オメガ3脂肪酸が注目されるようになったのは1960年代からで、グリーンランドに住むイヌイットには西欧諸国に見られるような心筋梗塞や喘息などの病気がほとんどなかったことから、その原因が食生活の違いにあるのではないかと指摘され、注目を集めました。その後、数多くの研究報告がなされ、オメガ3脂肪酸を多く摂取している人では心臓病、脳血管疾患、認知障害のリスクが低下することや、死亡率が低いことが明らかになっています。

肺の健康にも
オメガ3脂肪酸が関連する?

肺の健康にもオメガ3脂肪酸が関連する?

さらに、近年の研究では、肺の健康を維持するために重要な働きをするかもしれないという新たな可能性も示唆されています。
約1万5000人を対象に食事内容と呼吸機能との関係について調べた研究では、特にDHA濃度が高いほど呼吸機能が維持されることがわかりました。また、50万人以上の遺伝子データを分析した別の研究でも、DHA濃度が高いほど肺機能の改善と関連していることが示されました。
肺の病気に対する効果的な治療薬は限られているため、罹らないように予防することが大切です。これまで、肺の健康における食事の役割はあまり研究されてきませんでしたが、肉より魚を中心に食べるほうが健康管理のうえでは効果的と言えそうです。

加齢性難聴のリスクを
軽減する可能性も

加齢性難聴のリスクを軽減する可能性も

もう一つ注目したいのが、オメガ3脂肪酸が聴覚の機能を維持し、加齢に伴う難聴のリスクを軽減するかもしれないということです。詳細はまだ明らかになっていませんが、内耳の細胞の健康を守ったり、大きな音や化学物質、感染症に対する炎症反応をやわらげたりする働きがあるかもしれません。

青魚やサプリメントで
オメガ3脂肪酸を補給しよう

青魚やサプリメントでオメガ3脂肪酸を補給しよう

魚由来のオメガ3脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)は広く知られていますが、他にDPA(ドコサペンタエン酸)、ALA(アルファリノレン酸)もオメガ3脂肪酸の一種です。
DPAはEPAとDHAの中間産物ですから、魚介類を食べることにより補充が可能です。
一方、ALAは植物由来で、亜麻仁油、クルミ、ヘンプオイル(麻の実油)などに多く含まれていますが、少量では体内で十分な効果を得ることが難しいとされています。また、ALAは体内で代謝されてEPAに変換されますが、そのためには代謝酵素が必要で、日本人でその代謝酵素を持つ人は10〜20%と言われています。
オメガ3脂肪酸を摂取するには、アジ、サバ、イワシ、サンマなど小型の青魚を基本に考えましょう。普段の食生活のバランスが偏っていたり、青魚をあまり食べないという人は、オメガ3脂肪酸の補給が難しく、血液中の濃度が下がる傾向がありますので、工夫して魚を食べる機会を増やすことをお勧めします。なお、現在は医薬品としてオメガ3脂肪酸を摂取することも可能ですので、どうしても魚が苦手という場合は処方薬やサプリメントとしてオメガ3脂肪酸を補給する方法もあります。担当医に相談してみましょう。

まとめ

  • オメガ3脂肪酸は健康維持のために
    選びたい
    油脂の筆頭
  • 青魚のEPA(エイコサペンタエン酸)、
    DHA(ドコサヘキサエン酸)が代表的
  • オメガ3脂肪酸を
    多く摂取している人では心臓病、
    脳血管疾患、認知障害のリスクが低下
  • 肺の健康や難聴などに関わる可能性も
    わかってきた
  • 植物由来のオメガ3脂肪酸は
    体内でうまく代謝されない人も
  • 青魚やサプリメントを基本に
    オメガ3脂肪酸を
    摂取しよう