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魚をもっと食べよう!

週の半分は魚を食べる日に

最近の食事を思い出してみてください。1週間のうちどのくらい、魚が食卓にのりましたか。免疫力に優れた健康体を保つには、「週の半分は1日1回、魚を食べる」ことをおすすめします。
魚は良質なたんぱく源となります。たんぱく質は、まず魚を週に半分、それに鶏肉や卵、豆類を基本とし、残りに質の良い豚肉・牛肉を加えると、バラエティ豊かで健康的な食卓につながるでしょう。さまざまなたんぱく源からバランスよく摂ることが大切です。

魚は良質なたんぱく源

「たんぱく質といえば肉」と肉食ばかりに偏ると、アラキドン酸と呼ばれる炎症物質が生成されて、体内の炎症が促進されるリスクが高まります。炎症とは、細胞が傷つくことで生まれる現象で、外敵から身を守るために体の中では絶えず小さな炎症が起きては収まる反応を繰り返しています。関節炎など痛みにつながるような炎症だけではなく、自覚症状として現れない慢性的な炎症もあるのです。炎症物質によって体内の炎症レベルが上がり細胞のダメージが広がってしまうと、さまざまな不調や病気につながりやすくなってしまいます。炎症を抑え、免疫力を保つためにも、さまざまな食材から適切な量のたんぱく質を摂ることを心がけましょう。

EPA・ビタミンDも摂れる

青背の魚はたんぱく質とともに、DHAやEPAなどのオメガ3系脂肪酸も豊富に含み、体内の炎症を抑制するはたらきを持つことが知られています。これが、魚をもっと積極的に食べてもらいたい理由でもあります。オメガ3系脂肪酸は、抗炎症作用のほか、血液をサラサラにして血栓を作りにくくし、動脈硬化を抑える働きがあることも知られています。
また、青魚や鮭にはスーパービタミンであるビタミンDも豊富です。ビタミンDには骨を強くする、免疫力の強化などさまざまな健康効果がありますが、体内の炎症を抑える働きもあります。

「調理が面倒!」はこうすれば解決

「魚はさばくのが面倒」「生ゴミが臭う」などの理由で魚を敬遠する人もいるようです。スーパーの鮮魚コーナーでお願いすれば短時間できれいにさばいてくれるところもありますし、切り身や刺身など下処理が不要なものを選ぶようにすれば問題ありません。
サバ缶、イワシ缶などを常備しておき、忙しい時は缶詰を利用すれば、手軽に栄養がチャージできます。「魚はめったに食べない」という人は、ぜひこうした工夫で、積極的に魚を食べることから始めてみてください。

なお、最近はたんぱく質ブームですが、食べる量にも注意が必要です。消化しきれなかったたんぱく質は大腸へと運ばれ、腸内細菌(悪玉菌)によってアンモニアなどの有害物質に変化します。アンモニアは腸管から吸収され、肝臓で無毒化されて腎臓を通って排泄されますが、たんぱく質が過剰になると、これらの臓器の負担も増えて健康に影響してきます。やみくもにたんぱく質を大量に摂れば良いわけではなく、バランスや適切な量が大切であることも肝に銘じておいてください。


まとめ

  • 魚を週に半分食べよう。それに鶏肉や卵、
    豆類を基本とし、残りに質の良い
    豚肉・牛肉が
    たんぱく質の摂取源
  • 肉食ばかりに偏るとアラキドン酸という
    炎症物質が生成され、
    体内の炎症が促進されるリスクが高まる
  • 魚はDHA/EPA(オメガ3系脂肪酸)が含まれ、体内の炎症を抑えたり、
    動脈硬化を抑える働きがある
  • 青魚・鮭にはビタミンDが豊富
  • 切り身や刺身、缶詰など
    手軽に摂れる魚を利用しよう
  • たんぱく質は多種類の食材から
    バランスよく適量を摂ることが大切