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1日1パックの納豆を習慣に

発酵食品には
免疫力アップの力がある

日本は発酵食品が1000種類以上あるとされる、世界屈指の発酵食品大国です。発酵食品とは、カビや細菌など微生物のはたらきによって食物の成分が変化(発酵)した加工食品のことをいいます。それを食べることで、味が美味しくなる、保存性が高まる、栄養素の消化吸収が高まるなど、さまざまな恩恵を受けることができます。免疫システムにかかわる腸内細菌にはたらきかけて腸内環境を整える力もありますので、日常の食事で発酵食品を積極的に摂ることは、免疫力アップにもつながります。

納豆は世界に誇る「スーパーフード」

発酵食品の中でも、「スーパーフード」として世界で注目されている有益な食品が納豆です。納豆菌は微生物の中でも最強の繁殖力を持ち、病原性大腸菌O-157の繁殖を抑えるほど強力であることがわかっています。毎日1パックの納豆を習慣にすることで、腸内細菌叢のバランスを整えることができ、感染症の予防にもつながるでしょう。
また、納豆に含まれる「スペルミン」というタンパク質の一種が細胞の代謝を促進し、体内の炎症を抑えることで、健康長寿にも関係するのではないかと注目されています。

ナットウキナーゼ、
イソフラボンなど特有の成分も

納豆には、ビタミンD、マグネシウム、亜鉛など、現代人に不足しがちな栄養素も豊富に含まれています。また、納豆が作り出す酵素の一つ「ナットウキナーゼ」は消化管から血液中に取り込まれ、血液をサラサラにして血栓を予防する効果を発揮します。さらに、納豆は大豆を発酵させて作っている発酵食品ですから、「大豆イソフラボン」という大豆特有のポリフェノール成分も摂取することができます。大豆イソフラボンには女性ホルモンに似たはたらきがあると言われており、閉経前後の女性の体調維持に役立ちます。

ビタミンKが骨を丈夫に、
動脈硬化も予防する

特筆すべきは、納豆にビタミンKが豊富に含まれていることです。ビタミンKは動脈壁からカルシウムを抜き取り骨へ移動させる作用があり、骨を作るのに欠かせないビタミンです。納豆を頻繁に食べる東日本と、あまり食べない西日本とを比べると、東日本の方が血液中のビタミンK濃度が高く、骨粗しょう症になりにくいという報告もあります。また、動脈壁からカルシウムを抜き取るということは、血管へのカルシウムの沈着を起こりにくくするため、動脈硬化の予防効果もあります。1日1パックの納豆を食べることは、腸内環境を整えるだけでなく、長期的には生活習慣病から体を守ることも期待できるのです。
なお、免疫力の維持・増強という意味でもビタミンKは重要な栄養素です。最新のオランダの研究では、体内のビタミンK濃度が低下するとCOVID-19が重症化しやすいことが報告されています。

このように多くの健康増進作用を持つ納豆を、ぜひ毎日の食卓の定番にしてください。白いご飯の食べ過ぎには注意が必要ですから、「納豆はご飯にかける」というワンパターンな食べ方ではなく、豆腐にかけたり、青菜と和えたりと、色々な美味しい食べ方を工夫してみましょう。

まとめ

  • 発酵食品とは微生物の作用によって
    成分が
    変化した有益な食品。
    腸内環境を整える作用がある。
  • 納豆菌は微生物の中でも最強の繁殖力。
  • 納豆にはビタミンK、ビタミンD、
    マグネシウム、亜鉛などの栄養素が豊富。
  • 納豆にはスペルミン、ナットウキナーゼ、
    大豆イソフラボンなどの特有成分も
    含まれている。
  • 1日1パックの納豆は腸内環境を整え、
    免疫力を高めるだけでなく、
    長期的に生活習慣病予防にも役立つ。