マグネシウムは細胞内に多く存在する、大切なミネラルの一つです。細胞のエネルギー(ATP)を作り出すために必須の栄養素ですから、マグネシウムが足りないと元気を維持することができません。しかし現代は、そもそも食材に含まれるマグネシウム量が減っていること、ストレスがかかるとマグネシウムはどんどん尿から体外へと排出されてしまうことなどから、マグネシウム不足を招きやすい要因に満ちていると言えます。加齢や薬の服用によっても、体内のマグネシウム量は減ってしまいます。
マグネシウムには、筋肉を緩めてやわらかくする働きもあります。そのため、不足すると体のあちこちで筋肉が収縮し、痙攣を起こしやすくなります。「よく夜中に足がつる」という悩みは、マグネシウム不足の表れかもしれません。筋肉は全身にありますので、同じ現象が血管壁で起きれば、高血圧や狭心症の原因となります。消化管の細胞にマグネシウム不足が生じれば、腸管の動きが悪くなり便秘の原因となります。マグネシウム不足はさまざまな生活習慣病にも関係しているのです。
ちなみに、筋肉の収縮はカルシウムが働くことで生まれますが、収縮した筋肉を緩める働きはマグネシウムによって起きます。マグネシウムがないと一度収縮した筋肉を元の状態に戻すことができないわけです。このようにバランスを取り合って働く関係を「ブラザーミネラル」と呼びます。同様に、カリウムとナトリウムがお互いにバランスを取り合いながら細胞の浸透圧を調整したり、水分を保持したりしていることはご存じの方も多いでしょう。私たちの体の中では、このように多種多様な栄養素が協力して働くことで正常な機能を維持しているのです。
しかし、現代の日本ではマグネシウムが足りていないにもかかわらず、食品表示にもあまりマグネシウムの文字は見られません。「カルシウムをとろう」と思っても、同時にマグネシウムも増やさなければバランスがひどく崩れる結果を招いてしまいます。ですから、意識してマグネシウムをもっと摂る必要があります。
では、どんな食べ物にマグネシウムが多く含まれているのでしょうか。植物の葉緑素にマグネシウムが存在していますので、ほうれん草、小松菜、ケール、ブロッコリー、ゴーヤなど青菜や緑の濃い野菜が筆頭に挙げられます。海苔、昆布、ワカメなど海藻類にも豊富です。納豆などの大豆製品、ナッツ、シード類、未精製の穀類にも多く含まれています。カカオ豆から作られるチョコレート、コーヒーもマグネシウム補給に役立つ食材ですが、砂糖の過剰摂取にならないよう気をつけてください。ビタミンやミネラルなどの栄養素はバランスよく多種類を摂るべきであることを念頭に置いて、しっかりとマグネシウムを補給してください。
Related Article