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プロテインの摂り過ぎは要注意!たんぱく質を考える

たんぱく質は
体を作る必須栄養素

たんぱく質は体を作る必須栄養素

最近はたんぱく質ブームで、プロテインドリンクやプロテインを強化した食品も多く見かけるようになりました。今回はたんぱく質(プロテイン)について考えてみましょう。
そもそも、たんぱく質とは骨格や皮膚などさまざまな臓器を作るうえで欠かすことのできない栄養素です。20種類のアミノ酸から合成され、細胞の構造を作ったり、酵素やホルモンを作るなど体を作る重要なはたらきを担っています。アミノ酸は構造上、窒素を含んでいますので、たんぱく質にも窒素が含まれます。これが炭水化物や脂質と大きく異なる特徴です。窒素は生体にとって必須の元素ですが、アンモニアという有害物質が最終産物となるため、これを処理することが体にとって大きな課題になるのです。

余ったアミノ酸を代謝するため
臓器に負担

余ったアミノ酸を代謝するため臓器に負担

もう少し詳しく説明しましょう。私たちが摂取したたんぱく質は胃腸で消化され、アミノ酸の形で小腸から体内へ吸収されます。このとき、たんぱく質が過剰にあると、余ったアミノ酸が腸管内に残り、大腸で腸内細菌(悪玉菌)によってアンモニアなどの有害物質に分解されます。大半のアンモニアは腸管から吸収され、肝臓で無毒化されて腎臓を通って尿中に排泄されますが、過剰になればその分、これらの臓器に負担をかけることになります。
もう一つ、たんぱく質の過剰摂取はメチオニンというアミノ酸の過剰摂取につながり、メチオニンを原料として生まれる「ホモシスティン」というアミノ酸の一種を増やすリスクもあります。ホモシスティンは「悪玉アミノ酸」とも呼ばれ、血中ホモシスティン濃度が上がると動脈硬化を引き起こし、心血管疾患や認知症などのリスクが高まることが知られています。

プロテイン加工食品は
内容成分の確認を

プロテイン加工食品は内容成分の確認を

たんぱく質も過剰に摂取すればデメリットが大きくなります。やみくもにたんぱく質を大量に摂ればよいわけではなく、バランスや適切な量を考えましょう。
特に植物性たんぱく源の代表格である大豆は、健康維持に役立つ成分も多く含まれるのですが、もともと消化しづらい食品であるという一面も忘れてはなりません。大豆製品も摂り過ぎれば体に負担をかけてしまいます。
もともと消化力の弱い人や加齢によって消化力の衰えた高齢者などがプロテインを大量に摂取する行為は未消化のプロテインを増やし、腸内細菌叢に影響を及ぼして腸の健康を損なう可能性もあります。摂り過ぎには注意してください。
また、プロテインドリンクは加工食品の一つでもあり、リン酸化合物や人工甘味料などの添加物が多く含まれていることがあります。飲用する場合には、内容成分を確認することをおすすめします。

たんぱく質は魚、肉、卵、豆から
バランスよく

たんぱく質は魚、肉、卵、豆からバランスよく

たんぱく質の1日の推奨摂取量は「体重(kg)×0.8」が目安と言われています。体重60kgの人であれば48gということになります。魚や肉などは大まかに言って重量の約20%のたんぱく質が含まれますので、100gの肉ならたんぱく質が20g摂れる計算になります。食が細い高齢者などは1日あたり48gのたんぱく質を摂るのは意外と難しいかもしれませんが、一般の健康な人であれば、魚、肉、プラスして卵、豆などをバランスよく取り入れるようにすれば、さほど難しいことではないでしょう。
特に魚は、体内の炎症を抑える作用のあるEPA・DHAといったオメガ3脂肪酸やビタミンDも摂ることができます。普段、魚をあまり食べないという人は、加工されたプロテイン食品よりも、魚を食べる機会を増やすことから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

  • たんぱく質は20種類のアミノ酸から
    合成される、
    体を作る必須栄養素
  • たんぱく質は窒素を含み、
    有害物質のアンモニアに分解される
  • 過剰なたんぱく質摂取は代謝のため
    臓器に負担をかける
  • 過剰なたんぱく質摂取は
    悪玉アミノ酸(ホモシスティン)を増やす
  • プロテイン加工食品は
    内容成分を確認して
    摂り過ぎに注意
  • たんぱく質は魚、肉、卵、豆から
    バランスよく摂取するのが基本