頭痛には、急性から慢性までさまざまなタイプがあります。慢性頭痛にも片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などがあり、月経サイクルに伴う頭痛や、鉄欠乏性貧血に伴う頭痛など、人により症状の度合いも起こり方も違います。中でも慢性的な片頭痛は約1000万人、日本人の10人に1人が繰り返し起こる頭痛に悩まされているとも言われます。30〜40代女性に多く、ストレスや気候などの環境、特定の食べ物などが誘引になって頭痛が引き起こされる場合もあります。
片頭痛が起こる原因には、炎症性、血管性、神経性などいくつかのメカニズムが考えられていますが、その病態をさらに検証すると、細胞のエネルギーを作り出すミトコンドリアの機能障害が隠れている可能性も指摘されています。こうした頭痛対策として栄養サプリメントが有効であるという報告もあります。何らかの栄養不足で細胞自体のはたらきが悪くなった結果、頭痛が起こっているのであれば、食事の内容を見直して、栄養状態をよくすることも十分に頭痛対策につながると思われます。
最近の研究でも、以下のような栄養素が頭痛対策として有効であると報告されています。
ビタミンB群、マグネシウム、コエンザイムQ-10は、いずれもミトコンドリアのはたらきを維持するのに欠かすことのできない栄養素です。ある研究では、ビタミンB2(リボフラビン)を1日400mg、3か月間服用することにより、片頭痛の発生頻度が50%以上減少したことが報告されています。また、ビタミンB3(ナイアシン、ナイアシンアミド)の不足によって慢性疲労や頭痛などが起こることが知られています。
マグネシウムが不足すると筋肉が緩みにくくなるため緊張型頭痛のリスクが高まります。マグネシウムはビタミンDを活性化するのに欠かせないミネラルでもあります。
コエンザイム-10は細胞内で作られている抗酸化物質の一つですが、加齢に伴い減少する栄養素ですので40歳以降の方が補給をする意味が大きいと思われます。イワシなどの青魚、ナッツ類、オリーブオイルに多く含まれるとされています。
一方、ビタミンDやオメガ3脂肪酸は、炎症反応を抑える効果が期待できます。血液中のビタミンD濃度が5ng/mL 上昇するごとに片頭痛の発生率が22%減少するという報告もあります。
特にマグネシウム、ビタミンD、オメガ3脂肪酸は、意識して摂取しなければ現代生活では不足しがちです。普段の食生活を振り返って、偏りがあるなど思い当たるところのある人は、これらを補充すると、効果的な頭痛対策になるはずです。人によって違いますが、頭痛の誘因となるような食べ物がある人は、できるだけ控える方が賢明です。空腹時に頭痛が起こりやすいという人もいますので、どのようなときにひどくなるのか、自分の頭痛の特徴や起こり方を観察して、食生活全体を整えていくことが大切です。
以下に、これらの栄養素を含む食品をご紹介します。少量では効果のない場合もありますので、その場合はサプリメントで摂ることを検討するのもよいでしょう。
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