「その不調は現代型栄養失調かも?」でもお伝えしたように、私たちが毎日健康に生きるための栄養の基礎はビタミン・ミネラルです。基礎がしっかりしなければ建物が不安定になるように、ビタミン・ミネラルが不足すれば細胞がうまく働けなくなってしまいます。ですから栄養状態を改善しようとするとき先ず取りかかっていただきたいのが、「ビタミン・ミネラルの積極的な摂取」です。
特に現代人の生活で不足しがちなビタミン・ミネラルは「ビタミンD」「亜鉛」「マグネシウム」の3つです。これらは、「免疫力をアップする3大要素」といっても過言ではないほど重要なのですが、にもかかわらず、現代型の生活スタイルでごく普通に生活している人は不足している傾向が多く見られます。新型コロナウイルス感染症対策の点からも、これらの栄養素の摂取を増やす必要があることを、ぜひ覚えておいてください。
ビタミンDは免疫力をアップし、私たちをあらゆる健康被害から守ってくれる「スーパービタミン」です。その働きは骨の健康を守るだけでなく、動脈硬化・糖尿病予防、筋力の維持、脳神経機能の維持、感染症予防など多岐にわたります。
ビタミンDは日光を浴びることにより皮膚で作られるほか、鮭や青魚などを食べることで補充することができます。しかし、年齢を重ねると皮膚で作られる量が減少しますし、日差しの弱い時期、あるいは日焼けを避けるために日光を浴びないようにしていれば、血中ビタミンDの濃度も低下します。このようにさまざまな要因も関係するため、ビタミンDを食事だけで増やすのは困難です。サプリメントで1日2000IU(40μg)を目安に補給することをおすすめします。
(詳しくは「ビタミンDが免疫力アップに重要!」を参照)
亜鉛は体内で200種類以上の酵素に関与して代謝を行うほか、DNAやたんぱく質の合成、性ホルモンの分泌、免疫力のコントロールなどに関わる極めて重要な栄養素です。細胞の活動に関わっている亜鉛が不足すればDNAレベルで問題が起き、全身に影響が及びます。飲酒量が多ければ代謝のためにそのぶん亜鉛が使われてしまいますので、特にお酒を飲む機会が多い人は積極的に亜鉛を摂取することをおすすめします。
亜鉛は牡蠣やレバー、チーズ、煮干し、ココアなどに多く含まれていますが、これらを食べる習慣が少ない人はサプリメントも活用しましょう。
マグネシウムは細胞のエネルギー産生に必須の栄養素です。骨や筋肉などの細胞内に多く存在しており、カルシウム濃度をコントロールするのもマグネシウムの重要な働きです。マグネシウムが不足するとカルシウム濃度が上昇し、代謝がうまくいかなくなり、筋肉が収縮します。このため「足がつる」現象が起こりやすくなります。同様の現象が血管で起これば高血圧や狭心症などにもつながります。
マグネシウムの補充には、青菜や海藻類、ナッツ、コーヒー、大豆製品などを食べるのが良いでしょう。
(詳しくは「現代生活はマグネシウム不足を招きやすい」を参照)
過不足なくバランスよく栄養素を摂取するためには、食事を改善するのが大前提ですが、ビタミンD・亜鉛・マグネシウムの3つの栄養素は、比較的バランスの良い通常の食事をとっていても、必要量を満たすのは難しいようです。サプリメントなどもうまく活用しましょう。
これらの栄養素が不足していても、すぐに病気を発症するわけではないので、通常の健康診断ではこれらの数値を測定されません。しかし、詳しく調べてみると、一見かなり健康状態が良さそうな人でもこの3つが完璧に維持されていることは稀です。すぐに病気を疑うわけではないからといって、重要な栄養素の不足を放置していいわけではありません。免疫力が落ちて、長期的にはさまざまな影響を及ぼす可能性があるからです。コロナ禍が続く今、日々免疫力を保つためにも、健康な人でも不足している栄養素があることを知って、積極的に補充しましょう。
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