SL Creations

「おいしさ」「安心・安全」「健康」を求めるSL Creationsは、
サイエンスに基づいた栄養の知識をお届けします。

五味五感を生かした食の知識vol.11

「五味五感のすべてをつなげて、
食べる力、生きる力をはぐくみましょう」

「五味五感のすべてをつなげて、
食べる力、生きる力を

はぐくみましょう」

食育はマナーや知識の習得にとどまりません。実際に食材に触れ、料理を作り、味わい、感じるといった、しつけの範囲を超えたところにこそ意味があると思っています。会話を楽しみながらバランスよく食べることの意味や大切さは、経験の積み重ねから実感できることだと考えます。

総仕上げは、「完成力」

この連載の最終回にあたってご紹介したレシピは、食べる人自身が食卓で作るおにぎりで、いわば、手巻き寿司のおにぎり版です。
まずは子どもといっしょに具材を用意するところからスタートします。「具は何にしようか」「枝豆をさやから出すのをお手伝いしてね」「ご飯が炊けた。いいにおいがするね」と会話しながら進め、準備ができたら、食卓では「どれを混ぜる?」「色がきれい」「これとこれは味が合うね」と子どもの興味を引きながら食べましょう。自分で作るといっそうおいしく感じますし、「もう1個作りたい」と食べる意欲を刺激します。自分の食べる量に合わせて、残さないように分量を加減することもできるようになるでしょう。五味五感のすべてを働かせ、つなげ、組み立てていく。そんな「完成力」をはぐくむことができるレシピだと考えます。

大切なのは、親の姿勢

子育て中の親世代は、社会でも活躍を求められる多忙な時期にあります。「急いでるから、いまキッチンに入らないで」と、料理中に子どもを遠ざけてしまうこともあるでしょう。でも、大げさにいえば、そこが食育の「人生の分かれ道」になるんです。食育は日々の経験の積み重ねですから、親の姿勢が問われるということです。しかし、食育には豪勢な料理やおしゃれな料理が必要というわけではありません。昔ながらの手間ひまをかけた料理でなければだめということでもありません。無理をせずに続けることが何よりも大切なんです。食材を見極め、シンプルな工程で楽しく作ることが食育を続けるコツといえるでしょう。ただ、食育の期間は子どもの体づくりにおいても大切な時期ですから、食品の安全性にはこだわっていただきたいと思っています。
「食育は、子どもがごく小さいうちの期間限定のこと」と何度もお伝えしてきました。とても大切だけれど、とても短い期間。どうぞ、肩ひじを張らずに、子どもの食べる力、生きる力をはぐくんであげてくださいね。

浜内 千波さん

「家庭教師のカリスマ」とも呼ばれ、料理のあらゆる知識に精通している人気料理研究家。テレビ、雑誌、講演会での活躍のほか、朝食を紹介するTwitterや料理のコツをYoutubeで配信。また、毎月、「浜内千波ファミリークッキングスクール」のオンライン料理教室も実施中。