食に関する知識をお伝えするとき、摂るべき栄養素やその質についての切り口が中心になりがちですが、じつは健康を考えるうえで、「何を食べるか」「どのくらい食べるか」だけでなく、「いつ食べるか」もとても重要です。体重コントロールに関する研究のトレンドも、以前は摂取カロリーや3大栄養素(炭水化物・脂質・たんぱく質)の割合についての議論が多かったのですが、近年はどの時間帯に食べるか、摂食時間についての議論に移行してきています。
ある研究では、食べる時間を午前8時から午後2時までに限定したところ、脂肪燃焼が増加し減量できたとされています。また、別の研究では、平均体重95kgの太り過ぎの人について調べた結果、起きている時間のほとんどで摂食行動をとっていたことがわかりました。このような人の食べる時間を12時間に制限したところ、食品の内容は変えなくても体重が3kgほど減少したということです。
さまざまな事情もある現代生活では、この研究どおりの生活は厳しいと思いますが、四六時中何かを食べ続けるような生活になっていないか、見直してみる必要はありそうです。思い当たる節がある人は「食べない時間」を意識的につくることから始めてみてはいかがでしょうか。
深夜に食べると太りやすいということは、経験則として多くの人がご存じでしょう。人間の体には「日内変動」と呼ばれるリズムがあり、胃腸などの働きも時間によって変化することがわかっています。理想は、この1日のリズムを知って食べることです。大きく、図のように分けて考えるとわかりやすいでしょう。
午前中は排泄が主で、体は食べものを消化する準備がまだ整っていません。ここでたくさん食べてしまうと排泄に向けられるエネルギーが消化に回ってしまい、胃腸の負担が大きくなります。朝、起きたらまず排泄を終え、それから軽い朝食を摂るのがよいでしょう。午後は消化能力が最も高くなる、いわば「やせる時間帯」ですから、しっかりエネルギー補給する必要があります。そして、夜(午後8時以降)の時間は栄養やカロリーを吸収する「太る時間帯」です。夕食は軽く、寝る2〜3時間前までに済ませると、体調がとてもよくなります。
食事の中身は3食とも主食、主菜、副菜を上手に選び、3大栄養素プラスビタミン、ミネラル、食物繊維をバランスよく摂るように組み立てましょう。あくまでも一例ですが、図のメニュー例を参考にしてみてください。
朝食は炭水化物をメインにたんぱく質を少量、昼食は逆にたんぱく質をメインに脂質・炭水化物・食物繊維が加わるようにします。夕食はたんぱく質と食物繊維を中心に、脂質・炭水化物は控え目にします。夜に食物繊維を摂っておくと、腸内環境が整い翌朝のお通じが良くなります。一方、脂質は消化に時間がかかり、摂り過ぎれば睡眠の質を悪くします。
1日のリズムを意識すると、「朝夕は軽く、昼はしっかり」食べるということに行きつきます。忙しい現代人は、1日3食のうち、昼食を抜いたり軽くすませたりして、夕食の配分が高くなる人が多いと思いますが、夕食でたくさん食べてしまうと太りやすく、翌日まで胃のもたれが続いたりすることもあります。特に減量を意識する人は、食事の時間と内容をチェックしてみましょう。
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