私たちは、食べているものの正体をどのくらい知っているでしょうか。
例えば梅干し。ちゃんと塩漬けして、ちゃんと天日で干した梅干しは本来腐らないものです。時間がたつことで熟成し、酸味や塩味だけでなく、まろやかなうまみが膨らんでくるものです。
本来は何年たっても食べられるはずなのに、スーパーで売っている梅干しには賞味期限があります。
また、本来発酵食品であるはずのキムチですが、なかにはまったく発酵していないキムチもあります。単にキムチ味に調合した添加物たっぷりの調味液の中に野菜を漬けてあるだけのものです。これをどれだけ食べても、腸内細菌の善玉菌が増えることはありません。
調味料だって同じことです。日本の伝統的な調味料は、「発酵」というすばらしい技術を用いてつくられたものです。発酵とは、細菌やカビなどの微生物によって食品を分解させ、私たちの体にいい成分に変化させることを言います。
そうやってつくられたものが「本物」だとしたら、現在の調味料はあらゆる手立てを使って「本物に近づけた」ものが多いのではないかと思います。
原材料も違う、製造方法も違い、製造にかかる時間や人手も違います。そして食品添加物という昔には存在しなかったものも使われています。
私は「絶対に本物を買いなさい」と言うつもりはありません。ただ自分が食べているもの、飲んでいるものの正体を知ってください。何が使われていて、何が使われていないのか。どんな製造方法なのか。それを知っているのと知らないのでは、これからの人生が違ってくると私は思うのです。
Smile Circle株式会社
岩城 紀子代表取締役社長
1972年兵庫県生まれ。ギャップジャパン、機能性食品開発のバイオベンチャーを経て、2008年にスマイルサークル株式会社を設立。「丁寧においしい食品を作っているのに商売が下手な生産者」にかわって販路拡大、商品開発を担うかたわら、さまざまな食品会社のコンサルタント業やバイヤー代行を務める。14年に株式会社グランドフードホールを設立。兵庫県芦屋市と東京・六本木に店舗を展開。百貨店など約100社の販売先、全国各地の約2600社のメーカーと取り引きしている。テレビ東京「カンブリア宮殿」に出演し話題騒然。
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