SL Creations

「なんだかいつも疲れている」「やる気が出ない」「集中力がなくミスを連発してしまう」「すぐに体調を崩す」———。病院で本格的に治療するほどではないけれど、なんとなく不調だという人は多いのではないでしょうか。ストレス社会とコロナ禍が不調に拍車をかけているかもしれません。しかし、常に疲れている人がいる一方で、抱える仕事量や責任が重くても、エネルギーにあふれ、豊かな発想力を持って働き、気力に満ちて人生を謳歌している人もいます。その違いは「食事」です。
便利になった現代は、いつでも食べたいものが手軽に手に入る時代ですが、「忙しいから」「お腹を満たしておけばいい」と食事の内容をおろそかにすると、体にとって本当に必要な栄養素が不足して、不必要なものは過剰になる「現代型栄養失調」に陥ります。多くの場合、糖質の摂取量が多く、ビタミン・ミネラルが不足するのが、現代型栄養失調の特徴です。だるさや眠気、イライラの原因はこうした栄養の偏りかもしれません。

いつでも好きなものが簡単に手に入る利便性に乗じて、栄養のことを考えずに好きなものを好きなだけ食べる食事では、簡単に糖質のとり過ぎになります。特に白米や白いパンなどの精製された食品は、ミネラルなどの栄養を加工の過程で落としているうえ、急激に血糖値を上げ、結果として血糖値の急降下を招きます。
また、外食中心の食事ではどうしても塩分過多になりますし、出来合いの食品や加工食品には添加物が多く含まれる反面、ビタミンやミネラルは微量しか含まれていません。ビタミン・ミネラルの宝庫であるはずの野菜や果物でさえ、土壌の変化で昔に比べて栄養価が落ちています。さらに、発酵食品を食べる習慣がなければ、腸内環境を維持することも難しくなります。このように、現代生活は栄養不足や偏りを招きやすい要因に満ちています。さまざまな要因が複雑に絡み合って、現代型栄養失調が引き起こされます。

このような状態が長く続けば、「なんとなく不調」なだけではなく、高血圧や動脈硬化が進行して、肥満や糖尿病といった生活習慣病を招きます。その先は心臓病や脳卒中など命に関わる病気につながります。長い間、積み重ねた生活習慣のつけが回ってくるのです。
さらに、近年、現代型栄養失調がうつ病などの心の病を発症する要因の一つとなっていることもわかってきました。うつ病を引き起こす主な原因は、脳内の神経伝達物質の不活性化だと言われています。例えば、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」が不足すると睡眠障害や不安感などマイナスの精神状態に陥りやすくなります。セロトニンの原料は必須アミノ酸の一つ「トリプトファン」ですから、トリプトファンを多く含む肉、魚、豆類などを食事からとる必要がありますが、これだけではセロトニンは合成されません。 合成の過程にはタンパク質代謝に関わるビタミンB6と鉄が不可欠。さらに脳神経の正常な働きに関わるビタミンB12や神経伝達物質を放出するときに必要になるカルシウムやマグネシウムなども十分にあって初めて、脳内にセロトニンが分泌されるのです。多種類の微量栄養素（ビタミン・ミネラル）を満遍なく摂ることがいかに重要か、おわかりいただけるでしょう。

セロトニンの例からもわかるように、ビタミン・ミネラルは建築で言うところの基礎にあたります。基礎がしっかりしなければ建物が不安定になるように、ビタミン・ミネラルが不足すれば細胞の働きが制限され、生きていく力となるエネルギーがうまく作れなくなってしまうのです。だるい、疲れやすいといった現代人に多く見られる不調は、実は細胞が「エネルギーをうまく作れない」と悲鳴を上げているサインであることが多いのです。
ですから、栄養状態を改善しようとするとき最優先に始めていただきたいのが、ビタミン・ミネラルの積極的な摂取です。食事だけで十分な量を摂取するのが難しい場合は、サプリメントで補給するのもよいでしょう。また、血糖値のコントロールも大切です。これからは、自分自身が栄養の知識を持ち、食事を賢くコントロールしていかなければ健康を維持することはできません。自分の健康状態を積極的に把握して、自己管理していく意識を高めましょう。