
朝1杯のコーヒーや昼食後のコーヒーが習慣になっている人は多いのではないでしょうか。コーヒーの健康増進作用や病気を予防する効果については、様々な角度から数多くの研究がなされています。
例えば血管の老化を防ぐ働きがあり、動脈硬化性の心血管疾患の発症を減らす、肝硬変や肝臓がんの予防、糖尿病予防につながるなど、様々な健康効果が期待できそうです。死亡率の低下に関する報告もあります(※1)。つまり、コーヒーを飲む習慣は長生きにも貢献するのではないかということです。
※1 Eur J Prev Cardiol. 2022 May 6;29(6):982-991.
コーヒーのはたらきは、クロロゲン酸など、コーヒーに含まれる抗酸化物質(ポリフェノールの一種)によるものが大きいと考えられています。抗炎症成分が心臓の炎症や酸化ストレスを抑える働きをしている可能性も指摘されています。
もう一つはカフェインによる作用が考えられます。カフェインは不整脈の原因となるという指摘もありますが、カフェインが心臓病や糖尿病に対して保護効果があることは既に多くの疫学研究で確認されています。「不整脈が心配だからコーヒーを完全に断たなければならない」と思っているとしたら、それは見直しても良いかもしれません。主治医から特別な制限がない限り、適量のカフェインはむしろ健康維持の助けになりそうです。もちろん、全ての人に当てはまるわけではありませんので、コーヒーを飲むと動悸が強くなる人や、カフェインに敏感な人は注意が必要です。
最近の研究(※2)で、コーヒーが心の健康にも関連する可能性があることが報告されています。中国の研究チームが40万人以上の大規模なデータをもとにコーヒーの摂取量とメンタルヘルスとの関係を調べた結果、1日に2〜3杯のコーヒーを飲む人は、不安や抑うつのリスクが最も低い傾向にありました。逆に、ほとんど飲まない人や、飲みすぎている人では、その効果は弱くなり、場合によってはリスクが高まる可能性も示されました。
抗酸化物質が持つ脳の健康を守る作用に加えて、カフェインに「アデノシン」という眠気を引き起こす物質の働きを抑えて覚醒状態を保つ働きがあること、また、やる気や快感に関係する神経伝達物質「ドーパミン」の働きを高めることなどが、心に影響を与える理由と考えられています。
ただし、この研究はあくまで関連を示したもので、飲めば飲むほど心の状態が良くなるというわけではありません。1日5杯以上の飲み過ぎはかえって不安感を強めたり、睡眠の質を低下させたりする可能性もあります。
※2 Journal of Affective Disorders (Volume 399, 15 April 2026, 120992)
大切なのは「適量」と「自分に合った飲み方」を知ることです。適量の目安としては「1日2〜3杯」です。また、糖分やミルクを多く加えると逆に健康を損なうこともありますので、飲み方にも注意しましょう。成分の働きを重視するなら基本はブラックです。
大前提として、一つの食品や成分で健康になれるわけではなく、睡眠、運動、食事のバランスなど生活全体の様々な要素が複合していることも忘れてはなりません。コーヒーも飲み過ぎに注意しながら、自分のライフスタイルに合わせて楽しむことが大切です。そのうえでコーヒーを味方につけ、心と体のリズムを整えていきましょう。
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